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〜エピローグ〜

 あの数日間から、二年がたっていた。
 クレナにはああ言われたものの、やはりというべきか、僕はこっちの世界の
女性とはうまくいっていなかった。
 ただでさえ遅漏気味だったのに、天女との体験がそれに輪をかけたようだ。
 女のコとのエッチではまったくイけなくなったし、自慰でさえなかなか射精
まで至らない。
 まあ、それでも気持ちいいことは気持ちいいし、満足してくれる女性はいる。
問題は僕が満足しきれないことだけ……。
 ま、いいんだけどさ。
 きっと僕は、一生分の快感を、あの三日間で味わったのだろうから。
 最近は講義も専門的になってきて、ゼミも忙しい感じだ。
 群衆心理学はおもしろいし……このまま研究に没頭していくのも悪くないか
な。
 などと考えているうちに、僕はアパートに帰り着いた。
 郵便物を確かめていると……。
「あー、よかった。まだここにいたんだね」
「まぁ、大学卒業まではいるつもり……」
 決して忘れられない声に反射的に答え、その途中で気づいて振り返る。
 僕と変わらない長身と、腰まで伸びた鳶色の髪。
 そこには、あのクレナがいた。
 基本的に脳裏に焼き付いた姿と変わらないけれど、二年前より雰囲気が大人
びていた。特にその美貌には磨きがかかっていて、威圧感すら感じるほどだ。
「……どしたの?」
「来ちゃった」
 けれどそう言うクレナは、あのときと変わらない悪戯っぽい笑顔を見せる。
なんとなく安心感を覚えた。
「どしてさ」
「一ヶ月くらい前、クーデターが起きて、王様が殺されちゃったんだよねー」
「だよねー……って、それめちゃくちゃ大事なんじゃ……」
「後宮は手をつけられなかったんだけど、まあ、政権打倒はされちゃったから、
さすがに向こうには居づらいかなーって」
「ああ、じゃあ天女杯勝ってたんだ」
「あたし以外に誰が勝つっていうのよ」
「そうだなぁ……思い浮かばないかも」
「あたし以外の出場者知らないでしょ。ま、とにかく、クーデターが成功しち
ゃって、二年間がパァーってわけ」
「ご愁傷様……」
「まー、月給とかお小遣いとか、なんだかんだで五億円くらいは溜まったんだ
けど」
「……そりゃ、クーデター起こされる道理だね」
 独裁政権に近かったのでは。
「それで、今回は何日の滞在?」
「いちおう、無期限で」
「……はい?」
「だいじょぶ、今回はお金持ってきてるから」
 クレナは懐から、みずほ銀行の通帳を出した。
「……本物?」
「通貨交換できるんだから、こっちの世界とも国交があるってことでしょ? 
この国にもちゃんと大使館あるよ」
 僕はクレナが差し出した通帳の残高を見てたまげた。
「ご……五億円……って、物価違うんじゃなかったっけ」
「国が嘘ついてたみたい。本当はあんまり変わらないらしいよ。国としたらぼ
ろ儲けでしょ?」
 たしかに。向こうの一般人が、五億を両替すれば五億もらえるはずなのに、
一億しかもらっていなかったとしたら。残りの四億はまるまる手数料として抜
かれていることになる。その四億を円に両替すれば、さらに二十億と両替でき
る。
「他にもあざといこと多かったみたい。あたしたちの世界のバイトで一回百万
円っていうのがあるらしいのね。それって、こっちの世界のお金持ちが一億円
出して天女とプレイしたときの報酬らしいの」
「残りの九千九百万はどこ? って感じだね」
「そのお金持ちとか政治家の尽力で、そういうものを手に入れられたりするん
だけどね」
「なるほど」
「それで……良はいま彼女とかいる? あたし泊めてもオッケー?」
「いると思う?」
「エッチに満足できなかった?」
「そゆことだね」
「ご愁傷様」
「クレナがそうしたいんならいいよ。僕がクレナにこだわる理由はあっても、
クレナが僕にこだわる理由はないと思うから」
 通帳をクレナに返す。これだけあれば、生活には苦労しないはずだ。
「生活は困らなくても、エッチには困るよね?」
 クレナはそう言いながら、僕の手を取った。
 ぞくぞくっと懐かしく狂おしい官能が込み上げてくる。
 天女は妖艶に微笑んだ。
「再会祝いに、たっぷりエッチしてあげる」






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