第三章


〜1〜

「今から、どこか遊びに行かない?」
 クレナが帰る日の朝、僕は天女にそう提案した。
「今から? 大学は?」
 コーヒーを呑みながら、クレナが言う。
「今日、講義ないの?」
「あるけど……」
「さぼる?」
「そう。昨日クレナが言ったみたいに、僕はまだ……大学でやりたいこととか、
目標とかないしさ。だから今は、漠然と講義を受けてノートを取ってるより…
…クレナと遊びに行った方が、ずっと有益だと思うんだ」
「……そう」
 コーヒーを呑みきって、クレナは立ち上がった。クレナは昨夜と同じように、
僕の服を着ている。
「いいよ。どこに行くの?」
 ホッとしながらも、僕は何も考えていなかったことに気付いた。
「えーと、あと三時間くらいか……どこか、行きたいところってある?」
「……考えてなかったんだ?」
 クレナは呆れたような顔をした。
「君さ、行き当たりばったりとかって言われない?」
「いや、あんまり」
 計画と呼べるほど正確な行動指針を立てたことはないけど……無計画ではな
い。どちらかというと無計画なのは友人たちだ。彼らに誘われるがままにスキー
に行って、宿に困ったなどということもあった。そういう人間が周りにいるか
ら、多少は計画的になる。なる、ということは、生来は大雑把な性格なのかも
しれないけど。
「観光案内には時間が足りないし……」
「週末とかどこで遊んでるの?」
「え……っと、大学?」
「サークル活動?」
「フットサル。五つあるんだけどさ、その中の新しいところだね」
「へえ。うーん、じゃー……ゲームセンターとかでもいいかな?」
「いいけど、やりたいゲームある?」
「プリクラと、景品取るやつ……UFOキャッチャー?」
「……しかない店もあるみたいだしね」
 僕は頭の中の地図から、ゲームセンターを探した。
 一人暮らしを始めてからはほとんど行っていない。買い物に行ったとき、U
FOキャッチャーが置かれている店があったような……という程度にしか思い
出せなかった。
「ところで、どうやって帰るのか訊いていいかな?」
「あ、時間のことだったらいいよ、ギリギリまで気にしないで。どこでも……
ホテルとかトイレとか、人の目につかないところからなら帰れるから」
 ほう、そういうもんか。深く気にしないことにする。
「センター街の辺りで探すっていうことで」



〜2〜

 互いの世界の生活といった雑談を交わしながら、僕らはセンター街へ向かっ
て歩いていた。
 長く話したわけじゃないけど、天界の生活観にはそんなに違和感がない。普
通想像しているような生活じゃなくて、この現代社会とそんなに変わらないら
しい。向こうはこっちの世界の情報を簡単に得られるらしいので、おかしな話
じゃない。
 大きく違うのはやはり、魔法のような力だけ。他のところの違いも、魔法が
生んでいるらしい。例えば、水を沸かすのに火を使ったりしない、といったよ
うに。他にも、鍵はなくて結界を使うとか、殺人やなんかの犯罪の凶器が魔法
であるとか。
 意外に思えたのは、天女杯なんかを行うのに、一夫一婦制だということだっ
た。
「そういえばさ、ずっと気になってたんだけど……」
「なに?」
「あ、気になるっていうか、不思議っていうか……」
「あたしが君に声かけたこと?」
「はっきり言って、そう」
「焼き肉……」
「そりゃね、最初はそう思ってた。焼き肉のこと独りごとで言ってたし。でも、
それはあんまり大きな理由じゃないんじゃないかなって」
「どうして?」
「だって、あのとき、クレナはこっちきてから一時間くらい経ってたはずだろ?
 日曜日に一人で歩いてて、ナンパされなかったはずないと思うんだけど」
「されたされた。けっこういたよ、若いのからおじさんまでピンキリ」
「だよね。だったら、その人たちの誰かにごちそうになってもよかったんじゃ
ないかな。焼き肉でもなんでも」
 自分で言うのもなんだけど、僕の容姿は並みだ。外見では選ばれてないと思
う。クレナをナンパする自信があるヤツだったら、僕よりずっといけてるはず
だし、お金にも余裕があっただろう。
「そうね」
「なんで?」
「君が割とタイプだったから……かな?」
「……あれ?」
「なに、その間の抜けた顔」
「ま、いいや。それで。お世辞でも悪い気はしないし」
 タイプだったからナンパ。単純明快な解答だ。僕的に不服はない。そう思い
こんでおけば幸せだ。
「君さ、気づいてなかったでしょ? あたしに」
「あのときは考えごとしてたから……って、もしかしてそれが理由?」
「あー、腹立つな、ちょっといじめてみよっかなー……って」
「で、いじめられたわけか」
「何だと思ってた?」
「心を読まれて、とかって想像してた」
「カワイソー、フラレてやんの。仕方ない、あたしが慰めてあげよー……とか?
 それはちょっとムリだよ。考えてることは読めない」
「……っていうか、僕が遅漏だってわかって話しかけてきたのかな、って思っ
てたんだけど」
「けっこー、君ってカンがいいよね。その割に抜けてたりする」
 クレナがからかうように言った。
「手、握ったじゃない? もし君があそこで射精してたら、どうした?」
「逃げたかな……そっか」
 たぶんそういうことだったんだろう。
「いい加減飽きてきてて、そこで君に会ったわけ。ドヨヨーンって気配漂わせ
て、それでその人がちょっと好みで、焼き肉を食べにいこうなんて独りごと言
ったら、声かけちゃうでしょ?」
 そう……かもしれない。
「ちなみに、君が手を握られただけで射精してても、逃がす気なかったけどね。
そのままホテル直行してたかな?」
 ほう、っと僕は溜息をつく。きっと遅漏でよかったんだろう。もし普通だっ
たら、死んでいたかも。
「謎は解けた? 納得?」
「そうだね。声かけてからが肝心だったんだ……」
「これで思い残すことはない?」
「……悔いじゃなくて?」
「あ、たぶんそれ」
「どうかな……あっ、あそこでいい?」
 道端に、店から飛び出したUFOキャッチャーが見えた。




〜3〜

「むつかしー……」
 クレナがアクリル板の向こうへため息を向けた。
 はっきり言って苦戦中。
 操作ボタンの脇に重ねてある、予算に決めた二千円分の百円玉は、ずいぶん
とその数を減らしていた。
 僕はクレナの隣で様子を見ながら、数えてみた。
 残りは八枚……四回分。
「ねー、これホントに取れるの? アームに力なさすぎ。サギじゃない?」
 僕を見たクレナは、ちょっと熱くなっているようだ。
 クレナの目標物は猫がモデルのアニメキャラクターのぬいぐるみ。ピンク色
の装飾物を身につけている方を狙っている。けれど、掴んだはずのぬいぐるみ
がこぼれるはこぼれるは。
 クレナでなくても腹が立つってもんだ。
「……このさい魔法みたいなので取れば?」
「野暮だし、そういうのって」
「そうだねー」
「でもさ、だいぶ近づいてはきてるよね?」
 クレナはシューターの傍まで運んできたぬいぐるみを指した。 
「問題は、一回も持ち上げられてない、ってところだと思う」
「……だよね」
 作戦を練っているのか、クレナは指を唇にあてた。
 しっかし、店側からすると、けっこう効率のいいゲームだよな……。
 だいたい失敗するし、ワンプレイで取れる景品は多くて三つ。ワンプレイ二
百円なら、景品三つで二百円はしないだろう。待機電力はあるものの、要求が
あったときだけ動くんだから、他の常にデモを流している格闘ゲームよりは電
気代も少ない気がする。
 何より、プレイ時間の短さ。三十秒経ったら自動的にアームが降りて掴むみ
たいだし、ワンプレイで一時間も動かされることはないから、ロスが少ない。
その分、プレイヤーが入れ替わり立ち替わりするから、利益が出るかどうかは
店の流行り具合がものを言うんだろうな……。
 ……って、そりゃ他のゲームでも、ゲームに限らず商売では同じだけどさ。
 ただ、専門店ができるくらい、人気ゲームであることは確かだ。雰囲気が明
るくて、カップルや女のコ受けするからだと思う。
「……ねえ、聞いてる?」
「えっ? あ……えと、なに?」
「一回、良がやってみてよ」
「僕? まぁ、いいけど」
 僕はわざわざ財布から二百円出して、投入口に入れる。一回プレイ、ボタン
を押す前に目標を探す。クレナが寄せたぬいぐるみはそのままにしておいて…
…。
 プレイを押して……横、縦と操作する。
 キャッチ開始。
 アームがぬいぐるみの脇に差し込まれた。
「いい感じ……あっ! 持ち上げた!」
 僕らはUFOに確保されたぬいぐるみを水平に目で追う。
 ぬいぐるみがバランスを崩した。
「あっ、落ちそう」
 アームが揺れて、ぬいぐるみが落ちる。
 と思ったら、ぬいぐるみの片足がシューターの淵にぶつかり、中に落ちた。
 かこんっと景品が取り出し口に落ちてくる。
「……とれた」
 誰よりも驚きながら、僕は取ったぬいぐるみをクレナに渡した。クレナは笑
いながら顔をしかめる。
「複雑」
「まぐれだって」
「ホントに?」
「だってさ、景品取れたの、初めてなんだ」
「もらっちゃっていいの、これ?」
「あげるつもりがないならやらないって」
「まあ、オトコの部屋には合わないよね。ありがたくもらっとくね?」
 クレナはそのぬいぐるみにキスをした。



〜4〜

「予算残っててよかったねえ」
 クレナは出てきたプリクラシートをおもしろそうに眺める。
「可愛いじゃん」
 一昨日カメラ携帯で撮ったときのような構図に、クレナが書いたカラフルな
落書きが踊っている。さっきのぬいぐるみにならって、僕の頬にはブルー、ク
レナの頬にはピンク色のヒゲが描かれていた。
「もう一枚分あるね。別のやつで撮ろっか」
 僕とクレナは別の機種に移動する。
「密室っていうか、なんでもできそうだね、ここって」
「スカートとかだと盗撮されたりするらしいよ」
 僕は足元を見る。
「特にこの機種なんか危ないなぁ……」
「下からカメラ?」
「そうそう」
「静かにやられたら、中にいる人は気づけないね」
 幸いにも、今日のクレナは丈上げしていない僕のジーンズ。昨日のと同じだ
けど、僕の服の中で丈が合うのはそれだけなのだ。
「キスしながら撮る?」
「いいよ……って、は?」
「だから、キスシーンを撮ろうって」
 両手で顔を掴まれ、カメラに横顔を向けさせられる。クレナと正対する形だ。
 クレナはコインを入れ、顔を近づけてきた。足が絡み、右手が首の後ろへ回
ってくる。
「ん……ん……むぅ……んちゅ……」
 舌を絡ませるかなりディープなキスだった。
 唇を合わせながら、クレナは器用にも横目でボタン操作。可愛い声音の音声
案内を聞きながら、僕らは濃厚なキスを続ける。カウントダウン。撮影。クレ
ナはともかく、僕の方はだんだんと頭がぼやけてきていた。勃起を服の上から
擦られるし……。
 僕の唇が解放されたのは、限度枚数まで撮影が終わったときだった。
「うーん……どれがいいかなぁ」
 クレナは十枚の中からどのキスシーンを選ぶか迷い始める。
「僕は、これと、これ……あと、これとこれがいいな」
 興奮状態が残る僕は、特に濃厚なシーンばかり選択するように言ってしまう。
「オッケー……落書きはなしで、レイアウトはこんな感じ?」
 印刷が始まる。
 時計を見ると、クレナが向こうの世界へ帰るまで一時間を切っていた。
「あと一時間もしたら、帰っちゃうのか……」
「そりゃそうよ」
「帰ったらもう会えない?」
「……そうなると思う」
「寂しいな……会ったばかりなのに」
 言った方がいいかな……。
 そうだよな、ここを逃したら、言う機会なんてもうなさそうだし。
「クレナ……」
「んー、なに?」
「僕じゃだめかな」
「…………」
 クレナは無言で、プリントシートを取り出す。
 僕は黙って、クレナが何か言うのを待った。
「きっとね、フラレた直後に、知り合ったからよ」
「平常状態でないときに知り合ったのは認める。恋愛感情と錯覚してるのかも
しれない。けど……好きっていうのだけは、断言できるんだ」
「……じゃあ、最後に、ちょっと試してみる?」
「試す……って?」
「君とのカンケイ続けたとして、あたしがどうしても我慢できないことがある
よね?」
「……エッチのこと?」
「文字通り最後のチャンス。もし、あたしが満足いくエッチができたなら、わ
ざと負けて帰ってきてもいいよ」
 クレナは悪戯っぽく微笑みながら、ぴらぴらとシートを揺らす。
「やってみる?」
 他にチャンスがないなら……たとえ、絶望的でも……。
「やる」
「時間は十分残ってるね。じゃあ、行こっか」
 クレナがそう言ったとき、僕は激しい目眩を覚え、気を失った。



〜5〜

 気が付くと、見覚えのあるアパートの部屋に僕は立っていた。
 テーブルの上に、ぬいぐるみと二枚の写真シート。
 ハッとして、クレナの姿を探す。
 ベッドに、彼女は腰掛けていた。
 時間を確認すると、ほとんど経っていない。
「て、テレポート……?」
「18歳以上っていう年齢制限があって、免許がいる術」
 車と同じか……。
「天界の主な移動方法で、天界とこの世界を行き来できる唯一の移動手段なの。
慣れないときついんだけど」
 クレナは話しながら無造作に服を脱いでいく。
「いいの? じっとしてて。時間なくなるよ?」
 僕も、トランクスだけ残して、服を脱いだ。
「だめだよ、下も脱がないと」
「わかった」
 指示に従って、同じく裸になったクレナの待つベッドへ向かう。
 クレナはやっぱり綺麗だった。
 まさに天女だと思えるほど、こんな所にはふさわしくないと思ってしまうほ
どに……。
 僕は近づきながら、両手を伸ばす。ベッドの脇にいるクレナは、同じように
腕を伸ばして、僕の体を受け止めた。天女の柔肌が密着し、欲望が激しくいき
り立った。
 背中に回した手で、クレナを抱き寄せる。離したくない。この天女の温もり
を、ずっと抱きしめていたい。
「そういえば、ここでエッチするの、初めてだね。一緒に寝てたのに」
 よ、よかった、昼で。たぶん、僕らの他には誰もいない……と思う。
 ……いたとしても、クレナがいたらなんとかなるのかもしれないけどさ。
「普通にしたらいいのかな?」
「そうね。とりあえず、いいよ。好きにして……」
 軽いキスを交わしてから、クレナはベッドに仰向けに寝た。天女の鳶色の髪
が信じられないくらい広範囲に、シーツの上に散らばった。まるで、それが翼
であるかのように……。
「くう……」
 倒れた拍子に、そそり立ったペニスが、クレナの張りのある太ももの肌に張
り付いた。
「ふふっ、そんな調子で頑張れるの?」
 僕はその質問に、自分から下腹部を押しつけ、クレナの右脚を内股で挟むこ
とで答える。あまり有効な解答ではなかったかもしれない……接触する面積が
増えたことで、ペニスがさらに充血してしまった。
 高ぶる気分を抑えつけながら、ほんのり赤みが差した頬にキスをする。
「ん……」
 クレナが首を傾けたので、細い首筋へと移動していく。そのまま耳の傍を通
り、艶めかしいうなじへ唇を這わせた。微かな吐息を聞きながら、きれいに浮
いた鎖骨へと落ちていく。唇と舌での愛撫を続けながら、僕は呼吸と心拍で小
さく震えている乳房を右手ですくった。
「んふ、あたしのオッパイ生で触るのって、初めてじゃなかった?」
「手で触るのは……初めてだね」
 僕は頷いて、天女のオッパイに指を埋め込んでいく。柔らかい……。固さは
微塵もなく、形を変えても癒着してしまったかのように吸い付いて離れない。
「ああっ、あうぁ……」
 皮膚を透過し、繊細な指先の神経に直に快楽が流れ込んでくる。指が性器に
なってしまったかのようで、あまりの気持ちよさに脊髄が震えた。
「舐めて……」
 クレナの右手が僕の頭を、空いている乳房に誘う。
「はふっ!」
 頬にその感触がぶつかってきた。目に近かったせいで、寒気にも似た官能が
視界の中で火花を立てた。
「あ……あ……これが……」
 僕は禁断の果実を前にしたときの人間のように、天女の白い乳丘に誘われる
がまま口を開けた。震える唇で、ピンッと尖った桃色の突起に吸い付いた。そ
の拍子に、胸肉がたぷたぷと口の周りで暴れる。
 チュッ、チュウウウウッ! 
 滑稽なほど音を立てて、シコった乳首を乳輪ごと吸引し、同時に舌先で転が
す。そこには何も味がないはずなのに、舌は極上の味を感じていた。母乳が出
る乳腺から別の物質が放出されているかのようだ。僕はその見えない何かを必
死に貪る。その間も僕は右手は乳房から快楽を得続け、我を忘れたかのように
ペニスを擦り付けていた。
「あっくううっ!」
 僕は突如込み上げてきた強烈な射精感に、銜えていた乳首を吐き出していた。
ぼたぼたとよだれが乳の上に落ちていく。
「うううう……」
 耐えるだけのエッチとは全然違った。愛撫をしているつもりが、いつの間に
か逆になっていて、まったく歯止めがかけられない。
「ふふっ、大変ねぇ?」
 からかうような声に、僕はほとんど反応を返せない。射精感が遠のくまで必
死に堪え忍ぶ。
「続ける?」
「もちろん……!」
 僕は乳肉を左右対称の動きで揉みはじめる。円運動による波のような快感。
すぐにどちらが愛撫しているのかわからなくなってくる。口をつけようと顔を
下げた僕に、クレナの声がかかった。
「いいよ、下に行っても」
 名残おしさをそこに置いて、僕はいったん体を離した。
 移動しようとして、ガクガクと膝が震えていることに気づいた。どうしてこ
んなことになるのか、よくわからない。その答えは、クレナが出してくれた。
「まだオマ×コ見てなかったよね?」
 そうだった。肉棒では味わっていたけど、いまだ僕を嬲っていた秘所を目に
したことはない。そこはどんな形で、どんな色をしているのか。僕は大きな緊
張と興奮で心臓を高鳴らせながら、それが見える場所へ移動した。



〜6〜 

 クレナはもう股を開いているので、その全てが僕の目に晒されていた。
 ビキッ、とペニスが張り裂けんばかりの音を鳴らす。
 当然だけど、恥部の造り自体はこっちの世界の女性と大差なかった。一際蠱
惑的に思えるのは、それがクレナの持ちモノだからだろう。
 下腹部には生えそろっている恥毛だが、秘所の周りにはほとんど生えていな
かった。けれど、まばらに生えた鳶色の縮んだ毛一本一本がその白い肌に映え、
何もないより遙かにエロチックだ。
 下草と秘裂の境目にある包皮からは、薄桃色の肉弁が伸びている。花弁は微
妙に波打ち、左右から圧迫してくる肉唇を押しのけようと抵抗しているようだ。
足を開いたせいでわずかに開いた肉ビラから、中の潤んだ朱肉が覗いている。
 外から見るだけで締まりが抜群であることが窺いしれる、まだ成熟しきって
いないような、小ぶりな女性器だった。
「いつまで見てるの?」
 僕は唾を呑み込みながら、右手をその空間へ差し入れる。周囲と気温が違っ
ているように、生暖かいような何かが指先にまとわりついてきた。
 クチュ……。
「はあぁっ……!」
 中指が小陰唇に触れ、伝わってきた快感の大きさに悲鳴を漏らしたのは、ク
レナではなく僕だった。男根がクレナの肌に触れてなくてよかった。もし、ど
こかに触れていたら、漏らしていたかもしれない。
 歯を食いしばりながら、クニクニと秘部全体を軽くこねた。その必要もない
くらいそこはすでに柔らかかった。中指を亀裂の間に這わし、その奥に隠れた
肉孔を探る。
 ぬちっちちっ……!
「うわぁーっ!」
 肉庭に沿って軽く押していただけなのに、その孔の入り口に触れた途端、第
二関節まで呑み込まれてしまった。
 やば、やばいって……!
 指が温かく濡れた膣肉に食い締められると、その刺激がそのまま肉棒にも伝
達されてくるのだ。指を数ミリ動かすと、膣が返してきた反応を感じたペニス
がビクビクと反応して、先端から我慢汁を垂れ流す。こっちの女性に挿入して
いるときより、天女の蜜壺に指を埋めている方がずっと気持ちよかった。この
まま続ければ、十分にイケるくらいに……けれど、そんなことではいけない。
「く……うう……うう……」
 我慢を続け、指と連動した愛撫になんとか慣れてきた僕は、挿し込んだ指の
スライドを徐々に大きくしていく。入れるときも抜くときも、恐ろしいほど抵
抗を感じるのに、滑るようにスムーズに動いた。奥まで入れたときに関節を曲
げ、前に覚えたGスポットの辺りを指の腹で擦る。
「ふぅ、んっ……!」
 びくりとクレナの肢体が波打ち、新たに分泌された蜜が指にまとわりついて
くる。新しいはずなのに、かなり粘り気があるようだ。
 舐めたら……どうなるんだろう?
 愛液、どんな味かな……。
 そんなことを考え、僕は指を引き抜こうとした。その動きを悟られたのか、
第一関節が膣口に引っかかってしまう。けれど僕はそのまま、ほとんど力任せ
に抜いてしまった。
「ぐあぁーっ!」
 そのせいで、亀頭に衝撃的な擦られ方をしたらしく、エラに激しい電気が走
った。その官能の信号は一瞬で腰へと突き抜けていく。もしこれで指が刺さっ
たままだったら、射精してしまっていたに違いない。
 苦悶する僕の様子を股の間から見ていたクレナが、くすくすと笑う。
「君さ、本気で好きなのかもね、あたしのこと」
「ど、どうして?」
「好きなコとしたら、感度あがるもんでしょ?」
「……うぐ」
 吉報なのかそうでないのかよくわからなかった。不利、であることはたぶん
間違いない。
 僕はクレナの膝裏を持ちあげた。
「舐めるの?」
 クレナは自分で膝を引き寄せ、秘部を上向きするのに協力してくれる。僕は
腰を支えながら、股ぐらに顔を埋めていった。鼻に甘酸っぱい匂いが漂い、天
女の女性器が間近に迫る。ドキドキしながら、閉じかかった花弁に唇をつけた。
 ふにふにした感触が唇に絡んできた。動いていないのに、動いているように
錯覚してしまう。唇から舌を差し出すと、媚薬のように官能を刺激する液体が
自らにじりよってきて、味覚器官を甘く刺激した。
「ちくっ……ちゅ……ちゅうっ……」
 僕は舌の上に存在する味を感じる細胞をフル稼働させて、薄い柑橘系の匂い
がする愛液の味を確かめた。天女が分泌した蜜はまさに官能の塊であるかのよ
うに、一舐めするごとに体内に流れる快楽物質を増殖させていく。
 昨日のことを思い出した。この蜜が、快楽を蓄積する風船のような役割をす
ることに。今はできるだけ取り込んでおいたほうがいいのかもしれない。そん
なふうに思って、僕はクレナの膣からその液体をかき集めた。
 クンニのことなんてすっかり忘れていたけど、幸いにもその舌の動きは挿入
口や膣肉をうまく擦ってくれたらしい。微かに鼻にかかった声が上から降って
きた。
「ンッ……あは……前戯はこれくらいで、いいよ」
 僕が股間から顔を上げると、クレナは膝から手を離した。
「あたし、感じやすい方だから……問題はこのあと」
 クレナは上半身を起こし、僕の頬に触れてきた。
「あたしの膣内で、何分動けるかだよね。濃厚なエッチしてほしいんだから、
三十分くらいは保ってほしいな?」
「……さ、三十分って……」
 僕はその長さに思わず言葉に詰まる。
 そりゃ、千紗との時はそれでもイケなかったけど。
 ……いや、クレナの場合も、時間そのものは重要じゃない。射精しても、勃
ちっぱなしなんだから。問題は意識を保っていられるかどうかだ。
「ん、でも、順番的には挿入じゃなくて……」
「はっくぅ……!」
 握手でもするように、僕の肉棒を握ってきた。
「あたしがこれを高ぶらせてあげる番よね?」



〜7〜

 さっきとは逆の体勢になる。
 今度は寝た僕の股の間に、クレナの顔が見えた。
「さて、と」
 クレナは勃起の根本を握り、僕の体と垂直になるように立てた。それはフェ
ラチオするときの利便性のためと言うより、むしろその様子をしっかりと僕に
見せるためのように思えた。
「いくよー」
「う……くあああっ!」
 ほとんど限界まで張りつめている肉棒がしごかれ始める。直接的かつ強烈な
快感。やはり直に触れられると、次元が違う。ただ、今回は耐えてさえいれば
いいので、なんとか射精せずに我慢を続けられた……余裕は全然ないけど。
「入れるよ?」
 ……え?
 僕はそれが何のことかわからなかった。口はまだ離れているから違う。まだ
挿入するわけではない……。
「ひっ……!?」
 そのとき、ヌルついた指が尻の穴のすぼみに触れてきた。
「そんなっ、ちょっ! 待っ……うああ!?」
 僕の声は無視され、アナルに指が入ってきた。特に痛みはなかったけど、大
きな屈辱感と異物感が込み上げてくる。しかも、指に塗られていたのはクレナ
の愛液のようで、体内から直接、快感が浸透し始めた。より深く、骨の内側ま
で快感信号が行き渡っていく。
「意外と気持ちいいでしょ?」
 アナルをこね回されながら、ペニスがしごかれる。先程のような優しい手つ
きではなく、射精を促すような速度と握り具合で。
「だめだって! それじゃ、すぐイクっ……!」
「イケば?」
 クレナは冷たい口調で告げると、勃起を擦る指にさらに力を込めた。そんな
無慈悲な責めに、発射寸前だった僕が耐えられるわけもない。
「いっ、イっちゃうっ! あっ、ああああぁーーーーっ!」
 ブシャアアッ!
 ほとんど成す術もなく精液が噴き出て、二十センチは離れていたクレナの顔
を直撃した。
「あふっ、んんっ……」
 クレナはイヤな顔一つせずに、精液を顔に受けた。美しい顔が白濁液でドロ
ドロになっていく。
「あらら、イッちゃったねぇー?」
 顎へ伝った精液をニチャニチャ指の間で弄ぶ。きれいな顔立ちをしているた
め、そんな所作が凄まじく卑猥に感じられた。
「はうう……」
 クレナは、勢いが足りずに肉棒が自ら浴びた精液を、幹に塗り込めていく。
ところどころに精子の塊がへばりつき、テラテラ光っていっそうグロテスクに
なった。
「おいしそうでしょ? はむ……」
 パクリと亀頭を一口で銜えられた。空気と口腔粘膜。ペニスを包む空間のギ
ャップに、僕は一気に高ぶってしまった。
「んぐっ、んぐっ……おいひい……」
 クレナは指を腸壁を掻き回しながら、勃起を唇と舌とで嬲り始める。心底ペ
ニスを愛しているように、丁寧でねっとりした口唇愛撫。根本付近まで垂れ落
ちた精液の残滓を回収するために、苦しい表情すら見せずに喉奥まで肉棒を受
け入れる。
 昨日も体験したディープスロートは食べられているという視覚的な興奮が大
きい。けれどそれをうち消してしまいそうなくらい、ペニスに与えられる快感
も絶大だ。喉までいくということは、嚥下しているということだ。肉棒を曲げ
てしまうくらいの吸引力で、奥へ奥へ吸い込まれていくからたまらない。しか
もその間、絶え間なくクレナの指に腸粘膜を擦られているのだ。
 だめだっ、やばいっ!
 僕の全身は限界を悟って震えだした。肉棒に流れ込む血液量も増え、三ミリ
くらい膨張した亀頭がクレナの喉を圧する。明らかな絶頂前の躍動、しかしそ
れを感じながらもクレナはフェラチオをやめようとはしない。それどころか、
精液の流出を促すために、睾丸を空いている手で揉んできた。次の瞬間には、
いくつもの場所から流れてくる快楽が合流して、押しとどめることなどできる
はずもない巨大な奔流と化していた。
「あうっ! ダメだっ! イクううううーっ!」
 ビュククッ!
 忍耐はあっさりと薙ぎ倒され、二発目をクレナの口腔へ放ってしまう。
「はぐぐうぅぅーっ! むむー……んんっぐっ!」
 天女が問答無用に喉に叩きつけられる精液を飲み干していく。官能一色に脳
が染められる中、僕は小刻みに腰を揺らし、二回目の精を全て天女の胃の中へ
と送り込んだ。
「うううっ……くはあぁっ……!」
 ペニスが口の中から出てくる。勃起はいささかの衰えも見せていなかった。
「まださ、パイズリって、してあげてなかったよね」
 クレナは、パチンッと指を鳴らした。
「うわわっ!」
 見えない何かによって、下半身が宙へ持ち上げられた。クレナの胸の前、パ
イズリをするにはちょうどいい位置に、ペニスがセットされる。
「パイズリされたことある?」
「な、ない」
 千紗は谷間ができるほどは大きくなかった。本人は、そういうのに憧れてい
るようだったけど。
「そんじゃ、初体験だね」
 初体験というか、そもそもレベルが違う。こっちの世界の女性と体験してい
ても、まったく意味をなさないのだ。
 たわわに揺れる二つの乳房が足の付け根辺りにまず載っけられた。同じ体積
の水よりは軽いけど、それでも十分な重量感がある。本当はさほどでもないは
ずなのに、胸の底を潰した場所が熱気を帯びた。まだ乳丘には触れられていな
いペニスが、そこの感触を想像し、その行為を深く愉しむために必要な潤滑油
を吹いた。
「それじゃ、始めるよ」
「はふぅっ!」
 最上等のパイ生地のような乳肉が、ペニスを包み込んできた。天女の乳房に
男性器が触れ、僕の肉棒はそれだけでビクンッとさらに力がこもる。肉棒が押
し包まれ、亀頭より下が胸肉の中に消えてしまった。
「あう、うっ、うぅー……」
 中身が詰まっているのか詰まっていないのか定かでない乳肌は、想像してい
たよりもピッタリと肉棒に密着してきた。他の部分が接触しているときとは比
べモノにならないほどの肌性感がそこには広がっていた。なにせ、ペニスの周
囲には隙間がない。乳房の至高の柔らかさが見事に空気を押しだし、邪魔もの
がない最高の密着を生み出しているのだ。それはヒダヒダが折りこまれている
膣でもなしえない。
「その顔からすると、キモチイイみたいだね?」
 クレナは左右の手で双乳を揺らし始めた。手のひらからの与えられる圧力が、
不思議な弾力に乗って伝わってくる。固いペニスの周りで縦横無尽に形を変え
る柔肉は摩擦がほとんどなく、痒いところに手が届かないような、妙な快感。
「くあっ、ああう……ああっ」
 その焦らされているような感覚がたまらなかった。僕はそれが絶頂を速める
動きだと知りつつも、無意識に前立腺に力を込めていた。ペニスの硬度を高め
ることで、乳に挟まれる感触を大きくしようと……。
 クレナはサンドイッチを抱いて肉棒をきつめに圧迫すると、亀頭に唾液を垂
らして潤滑油を追加した。天女の分泌物は、とろとろと亀頭を敏感にしながら
流れ落ちていく。
「こんな感じで、どうかな……?」
 二つのオッパイが上下し、勃起を弄び始めた。
「はっ、うっ……くあっ……あっ……」
 柔らかい、そこにはその単語しかない。けれど、天然のローションをまとっ
た柔乳は、紛れもなく肉棒を扱いていた。乳房が上へ移動すると、亀頭が包ま
れ、上部が消える。そこから下に向かうとき、ピッタリと閉じた谷間をこじ開
けさせられるのだ。ニュッ、ニュッ……と乳房の下端が腿で弾ける音を抜けば、
そんな頼りない音しかしないわりに、快感は大きい。
「んふふっ。ねえ、ちゃんと感じてくれてる……?」
 クレナのパイズリは徐々にだが確実に、性感を押し上げてきていた。それは
これまでに体験してきた暴力的な快感とは異なりながらも、我慢を許さない追
いつめ方だ。
 緩やかに昇ってきた快感曲線が臨界点を突破し、睾丸の中で精がグルッと音
を立てた。
「うああっ……だ、だめ……だっ!」
 否応なく精子が溢れ出し、カウパーと合流して精液となり、加速しながらせ
り上がってくる。尿道の中に固い管が挿入されていて、その管を通っているか
のように、肉がいくら膨張しても勢いが衰えない。
 そしてムニュニュッと肉棒が乳肉を掻き分けて、亀頭が顔を出した瞬間、
「あっあっああ……あああああっ!」
 びゅぱぱっ! びゅぱっ、びゅぱっ!
 精液が肉の出入り口に到達し、天女の美乳の間から噴水のように噴き上がっ
た。肉棒は絶頂の衝動で柔らかなプールを前後に往復し、白濁をクレナの顎に
ぶちまけていく……。



〜8〜

「……もう三発目だよ?」
 糊のように濃厚な精液が顎に貼り付けたまま、クレナはニッコリと微笑む。
「ハァ、ハァ……わかってる」
「あたし、普通のエッチでもこれくらいするよ? でも、普通のエッチなら、
時間的に考えてまだ出すところじゃないよね?」
「…………」
「回数でフォローする? でもさ、今回は三日だけだけど、毎日続くんだよ?」
「……それは、すぐには無理かもしれないけど、慣れてみせる。これくらいじ
ゃ、出さないようにもしたい……するから」
「そうね」
 クレナは微笑んだまま頷いた。
「良なら、前戯くらいはすぐにこなせるようになると思う。でもね?」
「わっ、わっ!」
 体がふわりと浮いた。無重力を漂うように天井すれすれを移動、クレナの背
後に着地させられた。鳶色の長髪が靡いたかと思うと、クレナは仰向けに寝て
いた。
「問題はここから……」
 天女は足を開いて、僕から挿入するように言ってくる。
「あたしと付き合うなら、良からもできないとだめよね?」
 僕は勃起が萎えないように、とりあえずクレナの膝に両手を乗せた。
 さっき舐めた秘裂を前に、僕は生唾を飲む。しばし動きが止まった。
「どうしたの? あたしはもう準備オッケーだよ」
 クレナは膝に載った僕の手ごと大きく開脚して、アソコの様子を僕に見せつ
ける。魔性すら感じさせる肉裂に吸い寄せられそうになりながらも、僕はため
らう。
「……自分で入れるの、怖い?」
「それもあるけど……」
「少しくらい乱暴になってもいいよ」
「……ん」
 我を忘れたらと思うと怖い。初めての時みたく、しゃにむに動いてしまうに
違いない。
「大丈夫よ。どうせ、君が飛ぶか……」
 クレナは精液をまとったまま妖艶に笑む。
「死んだら、収まるんだから」
 その言葉に、僕の心は恐怖する。けれど、そんな怖じ気づいた心とは裏腹に、
勃起は興奮度を増して、過去最大級の太さに達していた。塗り込められている
天女の唾液の作用かもしれない。冷えた心も、肉棒の熱にあてられて、すぐに
興奮のるつぼへ返り咲いた。
「いつでもいいよ」
 僕は大きな深呼吸を一度してから、クレナの股に体を滑り込ませた。垂直に
そそり立っているペニスの角度を徐々に平行にしていく。
「くううううううっ!」
 入り口に亀頭を押しあてると強烈な快感が全身を襲ってきた。前立腺がビク
ビク脈動し、僕は危うく漏らしかけた。実際、精子が出なかっただけで、射精
時とほとんど同量の先走りの汁が出てしまっていた。
 クレナが最初に言っていた『どれだけ慣らしても、オマ×コの入り口に触っ
ただけで果てちゃう』、それは今みたいに自分からするときのことを言ってい
たに違いない。指を入れたときに半ば予測していたとはいえ、気を抜けばすぐ
にイッてしまうほどの巨大な快感だった。
「くふう……うううっ……く……」
 慣れるまで、じっと堪える。そうしていて一つわかったのは、快感の波がク
レナの鼓動に合わせて襲ってくることだった。周波が一秒弱という短いスパン
ながら、予想できるためになんとか入り口では射精せずにすんだ。
「い、入れるよ……」
 そして、僕は決意を込めて腰を進めた。が、そこでクレナが僕を嘲笑うかの
ように、わずかに腰を引いた。
「あうううううううっ!?」
 挿入口が微妙にずれ、僕はクレナの秘所の上で裏筋を擦ってしまった。ニュ
ププッ、と肉襞の間をすり抜け、勃起した小豆にぶつかって男根が跳ねる。不
意に受けた予想と異なる刺激では、我慢できるはずもない。
 ビュパパッ! ビュプッ!
 僕は虚空で派手にイッてしまう。
「ああっ、あああ……」
 絶望の吐息と共に僕の放った精液が鳶色の恥毛を汚した。



〜9〜

「あらら、四発目」
 クレナはおかしそうに、陰毛に絡んだ精液をすくって、おなかに塗り広げた。
「もうだいぶ薄いね?」
「ひ、ひどいじゃないか……わざと動くなんて……!」
 僕は思わずつぶやく。
「どうして? 何がひどいの?」
 余裕の声で問い返されると、僕は何も反論できない。一人エッチと違って相
手がいるんだから、思い通りにいかないこともあるのが当然。
 というより、今のはクレナなりのエッチの楽しみ方なのだろう。挿入したが
っている余裕のないオトコに、入れさせないで、苦労させる。ことエッチに関
しては、クレナはけっこうサディスティックだ。
「エッチの途中でイキそうになったからってやめちゃったら、醒めちゃうよね?
 普段なら、鍛えるためで仕方ないけど……今はそういう状況じゃないし? 
あっああんっ!」
 聞き終わらない内、僕はクレナの肉壺に先端を突き立てた。
「ううううっ!」
 熱く狭隘な膣道に包まれ、脊髄がドロドロに溶け始めていた。悦楽が急激に
染み渡ってくる。そして、早くも亀頭粘膜が、クレナの愛液に混じる快楽の受
容体を吸収し始めていた。爆発したときが怖いけど、今は必要不可欠な物質だ。
少しでも多く摂取しておかなくては……。
「ぐっ……くうっ……くっ……」
 僕はほ三センチほどさらに突き入れ、そこで浅いピストンを始めた。奥へ引
きずり込もうとする膣襞の動きに対抗するのは大変だ。けど、これ以上入れて
しまうと暴発してしまうのはわかっていた。
「あんっ……んっ、焦らしてるの……?」
「かも……ね」
 僕は切れ切れの声でつぶやき、入り口付近の肉を抉りつつ、同時に快感を蓄
積する物質を得ていく。それは不思議な物質で、いくら溜めても、射精感は一
向に遠のかない。
 僕が一秒で外に排出できる快楽量は微々たるもの。けれどクレナの膣は、入
り口だけでもそれを遙かに上回る快感を与えてくる。それは傾きが大きいだけ
で普通の形だ。その上昇線が絶頂点を超えたとき、僕たちは射精に至る。
 僕の場合、すでに絶頂の地点まで達している。ただ、絶頂点からオーバーし
た快感をクレナにもらった物質が奪っていくから、イッていないだけ。単純に
グラフで表せば快感曲線は平行線を描いているいるんだろう……けど、僕は上
がって下がってを繰り返していた。自分で排出した快感分は、きちんと僕に打
ち込まれてくるのだから。
「くぁ……はっ、はっ……」
 それは、けっして楽じゃない。射精に至る中で、一番気持ちいい所を、連続
して味わわなければいけないからだ。でも、僕には他に方法がない。
 脳裏にフラッシュがたかれ続ける中、少し貯金ができたことを悟って、僕は
一気に奥まで押し込むことを決める。
「くうっ、う、ああああーーっ!」
 クレナの細腰を押さえて、腰を繰り出す。
 ズブブブブゥ……ブブッ……ずちゅ……。
「あっ、はああぁーんっ!」
 狭い肉洞を貫通した亀頭が、その奥に待つ子宮にめり込んだ。その瞬間、熱
杭を待ち望んでいた膣肉が、スイッチが入ったように大きくざわつき始めた。
「くうっ! ううううぅぅぅー!」
 やっ、やばいっ!
 新たな快感蓄積物質の供給が追いつかない内に、膨大な量の快感が入り込ん
でくる。貯金を根こそぎ奪い取られていく感じだ。
「くあああっ!?」
 慌てて腰を引こうとしたとき、クレナの両足が腰に巻き付いてきた。エモノ
を捉えた食虫植物がするように、僕の逃げ道を塞いだのだ。
「く、クレナ! それじゃ、う、動かせないって!」
「いいの。挿入したあとは、少しくらい、じっとしてて欲しいもん……」
 甘えるようでいて、どこか僕の心を見透かしているような残虐さが感じられ
た。その証明に、膣肉で作られた指が肉棒を擦ってくる。
 ヌチャ、ヌチャ、ヌチャ……。
 頭に直接響く音がさらに官能を高め、下腹部で圧力のようなものがブワワワ
ッと解き放たれた。それは蓄積されていた快楽物質放出の瞬間だった。
「あっあああああぁーーー!?」
 ビクンッ! ビクッ、ビクッ、ビクッ!
 まばゆい快感の中、脈打つ肉壺でペニスが空打ちを繰り返す。
「はー、はー、ふー……ふううー……」
「五回……さすが、まだ飛んでないね?」
 送り込まれる快感は多いけど、絶頂の激しさ自体はこれまでとさほど変わら
ない。この二日でだいぶ慣れてきてはいた。
「でも、あたしは一回もイカしてもらってないよ?」
 クレナは足に込めた力を緩めて、隙間を作った。



〜10〜

「うああああっ……!」
 僕は強烈な肉の抵抗を受けながら、ズルズルと腰を引いていく。秒速数ミリ、
これまで体験してきたエッチではしたことがないくらいゆっくりとした後退。
亀頭へ達するまでの十センチが、途方もなく長い。なんとか引ききり、動きを
反転させた。グジジッと閉じた肉壁を掻き分けていく。
「ああ、ああうううっ……」
 粘ついた肉襞で神経を撫でられる感触に、脳内温度が上昇し、頭がくらくら
してきた。
「ねえ、そんな腰遣いでイカせられると思ってる?」
 ぞわわっと肉壺が収縮を始めた。ムラのある肉の塊が、ニュルルニュルルッ
と肉棒の表面を強弱をもって扱いていく。
「はくぁっ! あぁ、膣内、動かさないで……」
「んー? 手伝ってあげようと思って。これって、うふふ、君も気持ちいいと
思うけど、たぶんそれ以上にあたしが気持ちいーんだよね……」
 本当に、僕のペニスの感触を味わっているように、クレナはどこかうっとり
とした表情で言う。僕の都合にはおかまいなく、彼女の意志に従っている膣肉
のざわめきは、まるで止まる気配がない。
 僕は半ば程まで挿入したきり、動けなくなってしまっていた。これ以上進ん
で、奥にある快感を受けたら、すぐにイッてしまう。抜こうと動かしても、も
しかしたら……。
 それくらい、僕はあっさりと限界に近づいてきてしまっていた。
「はやく動いたほうがいいんじゃない……? そんなとこで無駄打ちしちゃう
つもり? 君の動きが止まったら、いくらペニスがビクビクしても感じないよ」
「う、うあああああっ!」
 どうせだったら、と僕は進むことを選択した。理性が動きを止めさせようと
している腰に力を溜め、一気に放つ。
 ズッブブブブッ! 
 けれど、それほどの力は要らなかったようだ。クレナの肉の動きに合わせて、
根本まで一直線にはまりこむ。残った力が尻にぶつかり、クレナの体を弾ませ
た。同時に僕の腰もビクンッと震える。
「あんっ! ……うん……それくらい、強くしてもいいよ」
 遠い声を聞きながら、僕はうねる肉からペニスを引き抜き、望まれたとおり
の勢いでねじ込んでいく。実は、僕は挿入したときすでに限界を超えてしまっ
ていて、射精のための収縮が始まっている。ただ絶頂の白い光が襲ってくる前
に、できるだけ動いておこうという本能からの抽送だった。
「あ……かっはああああぁーーーーっ!」
 先端が最奥にぶつかった瞬間、下腹部で何かが膨張した。ほんの一秒のタイ
ムラグを置き、解き放たれた快楽が僕の全身を汚染する。
 ビクビクビクッ! ビクンッ!、ビクンッ!
 根本まで刺さっている肉棒が膣で暴れ出した。
「ほらぁ、射精してる間も、ちゃんと突いて」
 かかとで動作が停止した尻を叩かれる。けれど、快感の嵐の中にいる僕は、
自分から腰を動かすことができない。
「ねえ、もうやめるの? あたしって、良にとってそれくらいの価値しかない?」
「くううううっ! あうううううううっ!」
 僕は脳髄の奥に届いた冷たい言葉に突き動かされるように、絶頂しながら腰
を動かす。知覚過敏になっている亀頭粘膜に、肉襞がヌチャヌチャとまとわり
ついてきて、容赦なく嬲ってくる。
「あっ、あっ、そう、いいっ、もっと突いてっ!」
 クレナの顔も見失っているような白い世界、僕はその声だけを頼りにピスト
ン運動を続ける。電流のように全身を駆けめぐり続ける、凄まじい快楽の奔流。
 全ての触覚が塗りつぶされるような輝度の中ながら、充血して少し厚みの増
した肉ビラや膣襞の感触は、相変わらず全て判別できた。
「はああああっ! ああっ! うううううーーっ!」
「……ァンッ、んっ、あっ、ああんっ……」
「あううううっ、うううーっ!」
 息ができなくなるほどの快楽を受けなければいけない出し入れを続けながら、
指のようにまとまった肉襞で痙攣している男根を扱かれる。体中が痺れたよう
な状態でありながら、持続させようと思うペニスばかりに力が入って、快感風
船がシャレにならない速度で膨らんでいく。キュウウウウッ、とペニスの奥の
方がつり、
「くああっ、だめだぁああああーーーっ!」
 ビクビクビクッ! ビクンッ! ビクンッ!
 ああっ、だ、だめだ、まだ飛んじゃ……!
「あんっ、良、とまっちゃだめ……動かして」
 終幕の予感をさせる絶頂衝動に耐える僕に、クレナはさらなる律動を要求し
てきた。



〜11〜

「ああんっ……そうっ……もっと抉ってっ!」
「くああああーーーーーっ!」
 僕は叫びながら、いまだ射精運動を繰り返し、張り裂けそうなくらい膨張し
ているペニスで、クレナの秘壺を捲り上げた。ひたすら腰を振り続ける。
 いつまで保つかわからない。けれどそうすることしか僕にはできない。
『もし、あたしが満足いくエッチができたなら……』
『……あたしは一回もイカしてもらってないよ?』
 一回もイカせていないのに、僕はこの状態だ。もう負けは覚悟していた。で
も最後に、一回くらいは、クレナをイカせたい。そんなことだけを心に決めて、
僕はできるかぎり力強いピストンを続ける。
「はあんっ、あっ、あっ……良、その調子……!」
 僕の脳が壊れてないなら、クレナの喘ぎ声が少しずつ本気に、艶を帯びてき
ている気がする。
 ビクッ、ビクビクビクビク!
 また僕の性器は激しくイッてしまう。けど、そんなことに構ってはいられな
い。腰が抜けたような感覚ながら、僕は必死に両手に両足に力を込め、腰を助
けながら律動する。
「あふっ、あはぁっ、んっ、んっ……」
 まだ僕が耐えていられるのは、快楽に慣れたわけでも、感じるところが麻痺
したわけでも、壊れたからでもない。
 送り続けられる快楽は、快感曲線の限界を超え続けながら、蓄積も続けてい
るのだ。分泌量が増した愛液の中から蓄積物質を吸収し、すぐさま満杯になる。
けれど僕がイキ続けているから、爆発することは免れているのだ。僕が壊れる
のは、それが爆発したとき……。
「うっくううううっ! くああああぁーっ!」
 ただ、快楽は僕の何かを確実にとろけさせていた。どこを掴んでいるのか、
僕にはもうわからない。誰としているのか、クレナの名前、僕の頭に残るのは
それだけなのかもしれない。
「はぁんっ、ンッ、んんっ! もうちょっとでイけそう……!」
 男がオナニーするとき、イク寸前から手淫の速度を上げるように。クレナの
膣の中の律動も、ペースが上がった。ただでさえ速度が上がり快楽量が増した
というのに、その速さのせいで、扱かれる方向に合わせて腰を動かせなくなっ
てしまった。
「ひいいいいっ!」
 肉の蠕動が上向きの時に僕は下への運動をしてしまう。二倍の速さで肉粘膜
が擦れ、二倍の力で奥へと絞られていく感触。そこにある快楽の大きさはわか
っていたけど、避けたかった擦れ方だった。
「ああぁーーんっ! それ、いいっ! もっと、オマ×コ擦ってぇっ!」
「あああっ、そんなっ! これっ! やばいいいいぃーーっ!!」
 死の恐怖を感じながらも、僕の腰は止まらなかった。いや、ここから一度で
も止まってしまえば、僕はそこで果てるだろう。あるいは、クレナの声に絶頂
の気配を感じなかったら、僕はあきらめていたかもしれない。
 僕は腰つきを弱めるどころか強くして、その肉襞のピストンに向かっていく。
入れるとき出すとき、二人の動きがかみ合ったときに生まれる、信じがたい快
楽をありのまま受け入れながら。
「はああああああっ、くああああっ!」
 僕のペニスは間断なく脈動を繰り返し、僕はもういつイッているのかわから
なかった。破滅の予感を感じさせる、連続絶頂……。
「んっううううっ、まだっ! まだっ!?」
「もうちょっとっ、んっ、あと……少し……! あっ、あっ、あっ……ああっ!」
 クレナの膣肉がキュンと緊密に縮まり、僕のペニスを強烈に締め上げてきた。
 その瞬間、肉棒付近の快楽蓄積物質が中身をぶちまけ、一際高い絶頂が僕を
貫いた。
「ああああっ! あああああぁぁぁーーーーっ!!」
 閃光のような悦楽は、細胞をガクガクと揺らしながら、次々と花開いていく
快楽風船を呑み込んでいく。
 ほんの数瞬で圧倒的に高くなった快楽物質の津波は、脳髄へ集束しながら押
し寄せてきた。津波はバチバチバチッと強烈な化学反応をもたらしながらさら
に頭頂へ向かって突き進んだ。脳幹をぶち抜き、意識を司る大脳皮質へ直撃す
る。快感が暴風のように吹き荒れ、さらに脳裏を染める白が輝きを増した。規
格を超えてさらに高まり続ける輝度……そして、耐えきれなくなって、意識が
灼ききれる。
「はああぁぁんっ! イクぅうううううーーっ!!」
 急に明度を失いブラックアウトしていく中、クレナの絶頂の声を聞いた気が
した……。


〜12〜

 僕はそっと目を開ける。
 そこにあるもの……いや、ないものを怖がって。
「やっぱりだめだったでしょ」
 クレナはまだ部屋にいるようだ。クレナがシャワーを浴びている時間を意識
修復に使って、僕は戻ってきたのだろう。
 僕は勢いよく上半身を起こした。ズキッと、鋭い痛みが頭に走る。タバコ百
本分くらい、脳細胞が壊れたに違いない。三日で三十回ほど絶頂させられた前
立腺にも違和感があった。
「あれじゃ君はともかく、あたしが満足できないもの」
 クレナは僕の服を着て、ぬいぐるみと半分に切ったプリクラシートを抱えて
いた。
「あたしって性欲強いから、一回イッたくらいじゃ、エッチしたって感じじゃ
ないのよねー……」
「至らず申し訳ないです」
「いえいえ。頑張った方だと思うよー。なんていうか、この三日間の体験で論
文一本書けそうなくらい」
「……その場合は、R君でよろしく」
「『良』がもらえるね、きっと」
「どうせだから『秀』をもらってほしいな……」
「あっと……あたし、そろそろ行くね?」
 定刻までもう五分を切っていた。
「短かったけど、楽しかった」
「あたしもよ」
 クレナはぬいぐるみを左右に振った。
「こっちでいいオンナ見つけてね?」
「…………」
 僕は言葉に詰まった。
 きっと見つけられない……そんな予感がしたのだ。
 沈黙。
 ふわっと石鹸の香りがした。
 クレナの唇が僕の唇にそっと触れていく。
 短い、さよならのキス。
 言うべきコトが見つかって僕は、親指を立てて口を開く。
「三発くらい楽勝だよね?」
「んふふっ、もち」
 クレナは親指を立て返して笑う。
 靄のようなものが、空中に現れた。注意して見ると、それは極薄の絹布のよ
うなものだった。
 羽衣……という単語を僕は思い浮かべる。気づかなかっただけで、この部屋
にテレポートしてきたときも使われたのだろう。
「それじゃ、ばいばい」
 クレナはふわりとしたそれを、頭からかぶった。薄衣は自然ではない動きで、
天女の全身を包み込んでいく。わずかに浮いていた足下を通り、そして四隅が
合わさった。
 次の瞬間には、天女も羽衣も、そこから消えていた。
 幻だったかと思うほど、跡形もなく……。
「ばいばい……」
 僕は虚空につぶやく。
 出会ったとき彼女が着ていたワンピースが、窓の外で寂しげに揺れていた。





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