第二章 〜清いようで清くない〜


  〜1〜

 彼女ができたのは、僕にとって初めての体験である。
 お婿にいけない、なんて体験をしてしまったのはさておくにしても、それは
概ね、感激すべき事実。なにしろ、柳さんだ。クラスメートの中から1人選ん
で付き合える券を持っていたら、9割方、選んでいたと思われる相手。ちなみ
に、柳さんがクラスメート全員から選んだ場合、それが僕になる確率はたぶん
25%くらいかなと思う。大甘の激甘に見積もって。
 ちなみに帰宅中に届いたメールは、『今後ともよろしく』。
 らしいといえば、らしいかなと思う。こちらこそ、と返しておいた。
 今朝は『おはよう』のメール。事務的だけど、朝から顔文字炸裂のメールは
受け取りたくないから、僕としては問題なしだった。
 届いたメールとか履歴を見ていると、付き合ってるという感じがする。錯覚
かもしんないけど。
 それから登校して、柳さんと会って、関係が急に変わるとか、そういうこと
があったかというと、あった。
 昨日はかなり話したからいいとして……一昨日と比べれば、百倍くらい会話
の文字数が増えた。
 ……ゼロを百倍してもゼロだという突っ込みはさておき。って、そんな突っ
込みはさすがにないか。
 いまは、いつもはグループで集まっている柳さんと、2人で弁当を食べたり
している。
「ん、確かにいい加減、世代交代してほしいよね」
「そう、70歳の老人が、どうやって未来のことを考えるのかってことよ。自
分さえよければそれでいいって話になるじゃない?」
「少なくとも、20年後のことを真剣に考える必要がないしね。考えるような
綺麗な精神の持ち主が政治家として70歳まで生き残ってるかというと、かな
り疑問だし」
「議員だって65歳定年でいいのよ。いいえ、むしろ、もっと若くして引っ込
むべきね」
「議員年金もらっていいからさっさと引っ込んでほしいよね」
「ほんと。まったく、面の皮が厚いったらない」
「面の皮が千枚張り、ってやつだね」
「呆れる。国会での議論なんて、小学生の終わりの会にも劣るもの」
「野次の飛ばし合いに、欠席だもんね」
「反対なら、負けるとわかっていても反対票を投じるのが、選出された者とし
ての責務よ」
「野党は頼りないからね。党首がさ、死んだ魚の目をしてる、なんて言われて
ちゃどうしよーもない」
「あはは、あれは傑作だったねー」
 と、まあ、意外と話題が合ったりするわけ。およそ一般的な学生の話題とか
け離れているにしても。だから、つまり、これまで義務的というか機械的に登
校していた学校が、以前よりおもしろくなったと評価できる。
 彼女ができて、おもしろくなくなるというのは、それはその関係に明らかな
欠陥が生じている場合に限られるとは思うけど。ま、2人でベタベタしていた
い場合に、学校での授業という相当な時間的損失が耐えられないということは
あるかな。
 ただ一部、余計な詮索というか、野次馬的根性の持ち主の対応が面倒くさい。
起こりうることは予期していたから、想定範囲内です、と言えなくもないけど、
下世話なおせっかいが多くて困る。芸能人のプライバシーを暴くことに精力を
傾ける多数の大衆的マスコミ思想に毒されすぎだ。他人が誰と付き合っていよ
うが、どうでもいいことだと思わないのか、すごく疑問だ。付き合っている相
手が自分の想い人だったりすると、ちょっと理解はできるけど。
 まあ、そりゃね、柳さんほどのキレイな人が彼氏を作らなかったというのは、
学校七不思議的な謎だった。男女問わず首を傾げていただろう。けど、だから
といって、その謎の解決を僕に求めてほしくない。聞きたければ本人に訊いて
ほしいんだよね……。
「5、6限の理科って、実験よね?」
「あ、うん、そうだって聞いてるね」
「内容知ってる?」
「さあ……」
「プラナリアの再生実験らしいよ」
「げ……」
 プラナリア。
 淡水性三岐腸類のナミウズムシ。
 切っても切っても死なないで、再生してしまうという不死身君だ。
「ちょっと嫌なのよね。全員切らされるみたいだから」
「カエルの解剖よりはいいんじゃない?」
「そうだけど。ねえ、縦割りか横割りか、どっちが気色悪くないかな?」
「横の方がいいと思うけど。縦に切ったら、中から何か出てきそう」
「じゃあ、三谷くんが縦担当ということで」
「は?」
「だって、席順で2人1組でする実験みたいだから」
「そっか。いいよ、僕が縦で。途中までだったら、双頭の蛇になるのかな?」
「そう……不便ね。別々の方向に行きたいときは」
「プラナリアだったら、強引に分裂しそうだけどね。真ん中切ってもオーケー
だし」
「高等生物になるほど、そういう融通は利かないのよね」
「あったね、そういうことも。残念な結果になったけど……」
「……今後、症例は増えていくと思うわ」
「劣化ウランなんかの放射能の影響もあるしね……」
「……そうね……」
 犯罪多発とか言われてるけど、しょせん平和な国なんだよね、日本は。
「だいたい、核燃料として使えないだけで、ウランはウランで明らかな放射性
物質なんだからさ、ネーミング悪いよね」
「……言えてる。それなのに、それで弾頭を作って戦争で撒き散らしてるんだ
から……何やってるのって思うわ。核弾頭の脅威がその放射能にあるのなら、
当然、規制されてしかるべき物質なのに」
「回収不能だもんね。高熱で溶けて、飛散しちゃえばさ……しかも半減期が4
5億年だから、少ない量でも、放射能を太陽系が終わるまで出し続けることに
なる」
「半減期が30年程度の死の灰と比べて、どちらがタチが悪いかというと、人
間社会としては劣化ウラン……ウラン238の方ね」
「どっちかっていうと、そうだね。いつまでたっても、汚染されたままなんだ
から。手の打ちようもなく」
「その汚染の影響は、食物連鎖の頂点にいると言える人間がもっとも大きく受
ける」
「因果応報、かな」
「本当に罰を受けるべき人間は、のうのうと暮らしているんだけどね」
「……あ、そろそろ戻らないと」
「そうね」
 僕らはだいたい空になった弁当箱を片づけて、教室へ戻った。


  〜2〜

 僕も柳さんも、クラブには入っていない。
 なので、放課後は、ほぼ半数の生徒より自由があるということになる。
 ついでに、僕らは塾なんかにも行ってないから、そのさらに30%の生徒よ
り時間がある。さらに言えば、現在はバイトをしていないから、そのさらに5
0%の生徒より暇である。
 こうして考えてみると、放課後まるまる交際の時間に充てられるという現状
は、かなり恵まれてるんじゃないかな。もちろん、しばらくすれば、またバイ
トを始めることになるけど……いまはとりあえず、ね。
 というわけで、映画に行こう、という話になっていた。
 今日はレディースデーでもあるし、と思ったんだけど……。
「割り勘にしようね。1400円ずつ」
「……へ?」
「こういうのって、最初に決めといた方がいいと思うから」
「そうなのかな」
「そうよ」
「……わかった」
 主張されたので、僕はあっさり頷く。
「こっちが学生で相手が社会人だったら、相手の言葉に甘えると思うけど、2
人とも学生だし、負担は等しくしよ」
「まあ、そのほうが長続きするかもね。柳さんがずっと割り勘でいいならだけ
ど」
「それに告白したの、私からだもの」
「ああ……それは理由になるかも」
「でしょ」
 などなど話しながら、駐輪場へ。
 そのまま自転車で映画館へ向かうことにする。
 駅ビルにあったと思うから、そんなに遠くない。15分くらいかな?
「着替えなくていいの?」
「制服とあまり変わらないから」
「……へ……?」
「洒落た服は持ってないの」
「そうなんだ」
「学費貯めてるのよ。大学の。だから無駄遣いは控えてる」
 じゃあ、僕は無駄じゃない、ってことかな?
 ちょっと誇らしげな気分になる。無駄でないだけなんだけどね。
「でも大変だね……」
「そんなでもない。国立との差額でいいって言われてるから。入学時までに貯
めろって話でもなくて、差額が借金になるだけ」
「それは、正当な発想する両親だね」
「私もそう思う」
 その両親して、柳さんあり。
 ……って、両親もたぶん柳さんか。
「18まではお小遣いと携帯代くれるって言ってるし」
「僕はバイト始めたら、止められちゃったよ」
「それが普通かもね」
 赤信号に引っかかり、僕らはブレーキ。左右見渡せる道路で車が来ていない
のはわかってるけど、交通法規は守るたちなんだよね。もしものときに、絶対
有利だし。
「ねえ」
「なに?」
「ちょっと先だけど、一緒に確定申告しにいかない?」
「最短で3ヶ月間は付き合うってこと?」
「それはもちろんだけど、少なくともクラスメートっていう関係でも、それく
らいはいいと思うよ。買い物と同じようなものだから」
「わかった。約束するよ」
 初詣に一緒に行くよりは、そう、単なる友達関係でも問題ない行動という感
じだし。うん、それにちょいとばかし書類を書くだけで、お金が戻って来るん
だから謂うことなしだ。
「それで、どの映画見るの?」
 走り出しながら聞いてみる。
「どれがいい?」
「僕はなんでもいいかな。基本的に創作物は好きだから」
「ならホラーでいい?」
「いいけど……」
「怖いの苦手?」
「いや、吊り橋効果でも狙ってるのかなーなんて邪推してみたりとかして」
「ドキドキを恋愛感情と勘違いって、あれ?」
「うん、そう」
 ……って、けっこう失礼だったかな?
 ちらりと柳さんを見ると、平然と頷いてみせる。
「なくはないかも。というか、たいていのカップルって、そんなふうにして感
情高めていくんじゃない?」
「へ? そうかな?」
「だって、例えば遊園地のジェットコースターとか、観覧車とか」
「ジェットコースターはともかく、観覧車?」
「あれって、遊園地の中で一番怖くない? リアルな高さとゆっくり進むスピー
ド、それに揺れるかご……」
 なるほど。
「ジェットコースターは乗り終わった後のドキドキ感で、観覧車は乗ってると
きのドキドキ感か……」
「密室だし、けっこう心理状態に影響すると思うわ。今度、試してみる?」
「別にいいけど……」
「こんな話した後だと、もう意味ないかも?」
「うん」
「もっとドキドキすること、中でしてみたらいいんじゃない?」
 ドキッ!
 う、なんかそれだけでドキドキしちゃってるよ……。
「あ、着いたわ」
 僕たちは揃って自転車をとめた。


  〜3〜

 人が続々と席を立っていく中、僕たちはスタッフロールを呑気に眺めていた。
「なんていうか、難しいね、ホラーって」
 残りのポップコーンをぽりぽりとかじって、つぶやく。
「そうね。小説で読む方がずっと怖いわ」
 柳さんも僕が言いたかったことに同意した。
 事実、彼女はずっと普通の顔をしていて、多少驚くような素振りは見せてい
たものの、隣に座っていた僕に触れてくるなんてことはなかった。って、それ
は映画じゃなくて柳さんをずっと見ていたような発言かも。1分に1回、1秒
くらいだよ、見てたのは。つまり、2時間だと120秒だね。というか、12
0回? 人の恋愛心理としては、基本的にその人を見れば見るほど好きなるわ
けだから……これだけでかなり好きになってしまっているのでは?
 なるほど……それがカップルがわざわざ黙って映画を見る理由か、と分析し
てみる。
 ちなみに120回中、3回ほど柳さんと目が合った。コンマ5秒くらいで逸
らしちゃったけど。確率的には相当な重なり具合だけど、要するに退屈なシー
ンで相手を見ていることが多いわけだから、さほど不思議でもないか。
「でも、日本版よりは怖かったかもね……」
「貞子がテレビから出てくるところだけだものね、怖いのは」
「しかも、ジェットコースターと同じ質の怖さっていう気がするね、あれは」
「なんとなくわかるわ。要するにあれでしょ、カメラに向かってボールが飛ん
でくると、仰け反っちゃう怖さ」
「そー、そー。まったくその通り」
「結局、映像にしちゃうと、想像しない分、怖さが薄れちゃうのね……」
「想像は感情の源の1つだもんね」
「あれこれ想像して、好きになっちゃうってこと? 私みたいに」
「メル友好きになるのだって、そうなんじゃないかな」
「ああ、それはそう。写メールなんてあるけど、基本的に文字だけで人を好き
に慣れるなんてすごい人たちよね」
 たしかに僕には想像できない心理。人の恋愛半径が100メートルなんて言
われたのは、10年以上前の話なのかもしれないなー……。
「でも、もしも実際に会って、その人の容姿が全然タイプじゃなくても好きで
いられるなら、応援はしてもいいわ」
「ごもっとも」
 僕が頷いたところで、館内が明るくなった。

 外へ出ると、すでに暗くなっていた。
 5時スタートで、7時を回っているんだから、当たり前だけど。
「ふふ……」
 自転車の錠を外しながら、柳さんがクスッと笑った。
「どうかした?」
「付き合ってる人と映画を見るのって、楽しいっていう発見がおもしろかった
の。そう、映画の内容にはあまり関係なく……」
「きっと後味がいいからだよ」
「そうかも。1人で見るときは映画は祭りの始まりから終わりだけど……2人
だとまだまだ真っ最中って感じだわ」
「まだオードブルを食べ終わったくらいだから、きっとね」
「なんか三谷くんらしくない大胆発言ね」
「…………」
 もしかしたら、そうだったかもしれない。特に他意はないセリフだったんだ
けど、意外とその中に願望が含まれているのかも。
「怒った?」
 自転車に乗って走り出すと、柳さんが聞いてきた。
「え、どうして?」
「ううん、なんとなく」
「らしい、なんて言えるほど、柳さんは僕に詳しくない、とかそういうこと?」
「ええ」
「そうは思わなかったかな。もともと他人の評価ってあんまり気にしないタチ
なんだよね。幸いにも、僕の人格は他人の評価に影響されないようにできてる
みたいだから」
「マイペースってことね」
「うん。かなり」
「ふふふふっ……」
 真顔で答える僕に、なぜか面白そうに笑う柳さん。
「どうしてもっと早く、三谷くんに声かけなかったんだろ。それが友達ってい
う関係だったとしても、なんかもったないことした気分」
「最初から友達だったら、きっと、今の関係にはなってないと思う」
「そうよ、そう。本当にそう……」
 それから、しばらく無言で走り続ける僕たち。
 10分ほど進むと、午前2時くらいまでやっているファミレスが見えてきた。
「三谷くん、お腹減ってる?」
「そうだね」
「食べてこっか」
「いいよ」
 ずいぶんと混んでそうな駐車状況だけど、僕らはそのファミレスに入った。


  〜4〜

 夕食後、柳さんの家に誘われたのは、それほどは不自然な流れではないだろ
うと思う。
「平均的なサラリーマンということは、平均的に帰りが遅いのよ。姉は別の県
で大学生してるし……」
 と、柳さん宅で2人きりになれるという期待を互いが抱いていたのも、さほ
どは不自然じゃないはず。
 恋愛というのは、そういうある種の不自然の集合体なのかもしれないよね。
要するに、通常はありえない演出と、その演出に乗るというような。
「お邪魔します……」
 そういって、僕は柳さんの部屋に入った。
「それ2回目」
 後ろからそんな突っ込み。家に上がるときも言った台詞だ。
「うん、まあ一応」
「別に入るのに気後れするような部屋じゃない……と思うけど」
「物理的じゃなくて精神的にね……」
「ふふ、まあ私も三谷くんの部屋に初めて入るときは言いそうだけど。適当に
座っててくれる?」
 柳さんは冷房を入れると、僕を残して、部屋を出ていく。着替えかなと思っ
たけど、タンスはこの部屋の中にあった。だからといって、柳さんが普段この
部屋で着替えているとかというと断言はできないけど。少なくとも確かなこと
は、そのタンスの中に柳さんの私服が入っているだろうということだ。
 着替えでないとすると、飲み物でも持ってくるんだろう。
 僕はあらためて柳さんの部屋を見回した。
 ごく一般的な若い女の子の部屋……ではないかもしれない。比較できる部屋
を知らないから、わからないだけなんだけど。
 ただ、現代の一般的な少女の部屋より、蔵書は確実に多い。見えているだけ
で、数百冊。中にはプログラムの本もあった。そして、漫画はほとんどない。
音楽や映像関係も少な目だ。あと少女趣味な小物類も少ない。
「置いてあるものはあんまし変わらないかも……」
 自分の部屋との相似をつぶやきつつ、僕はガラステーブルの近くに座った。
 正三角形のテーブルか。これはどう考えても3人以下用だよね……。
「……へえ……」
 テーブルに目をやると、本が置いてあった。
 森博嗣の新作らしい。半分くらいのところに、しおりが挟んであった。
「今度貸してもらおうかな……」
 1冊読んではまってしまった作家だった。図書館から借りてきて、ほとんど
全部読んでいる。ただ、新作は順番待ちでなかなか借りられないわけで……。
 何気なく本棚を見ると、白と黒の背表紙が並んでいるのに気付いた。柳さん
はほとんど揃えてしまっているらしい。
 森博嗣を初めて読んだのが中学校の頃。思春期まっただ中だから、かなり彼
の本に影響を受けていると言える。もしかすると、僕と柳さんの性格が似てい
るように思えるのは、同じ本を読んだからかもしれない。
「お待たせ」
 お盆を持って柳さんが戻ってきた。予想通りだけど、制服のまま。私服姿を
見てみたい気もするんだけど、というか、春の遠足の時に見たけど、それとこ
れとは別だからね。
「この時間だし、お茶にしたけどいい?」
「うん、お酒以外ならなんでも」
 氷入りのお茶と軽い目のお菓子がテーブルに並べられる。
「どんな印象?」
「部屋のこと?」
「そう」
「いいと思うけど……清潔で無駄がなくて。たぶん、僕の柳さんに抱いてるイ
メージにそぐう部屋だと思う」
「それならよかった」
 柳さんは僕の右隣の辺に座った。当たり前の話だけど、僕と柳さんが作る角
度は60度だ。実は、隣より対面より話がしやすい角度なのかも。
「三谷くんの部屋はどんな感じ?」
「特に変わらないと思うよ。モー娘。のポスターなんて張ってないし」
「グラビアとかポスター張ってたら、絶交ね」
「厳しいね」
「そうかも。言ったでしょ、身勝手だって。三谷くんはある? そういう条件」
 言われて、ちょっと考えてみる。
 要するにNGがあるかってことだよね……。
「麻痺してるかな……もう」
「そうかもね、コレ以上のNGはなかなか見当たらない」
 柳さんがスカートの上から、股間に触れた。ガラステーブルなので、生白い
腿と一緒に、その仕草が完璧なまでに僕の目に入ってしまった。2人きりの部
屋と柳さんの存在に、興奮してきてしまう。
「うん……そうだね。あとの僕のNGは、柳さんには当てはまらないと思うよ」
「ねえ……部屋に誘われたんだから、それくらいの確率で、私が三谷くんに何
か望んでると思わない?」
「そうなのかもとは思う」
 前の時もそうだけど、意外と柳さんは積極的なんだという気がする。全然イ
ヤじゃないけど。というか、相手が言い出さないと、たぶん今の僕はなにもで
きないんだろうし。
「映画見てるとき、何回か目が合ったよね」
「うん……」
「本当のこと言うとね、匂いが感じられるくらいの距離にいて、私ずっと興奮
してたの」
「若いんだ」
「1回、してもらっちゃったからかな……あのときから、あんまり我慢がきか
ないのよね……」
 柳さんは普段の、冷静な表情に見えるんだけど……。
 そっか……きっと、興奮を顔に出さないように、小さい頃からずっと訓練し
てきたんだよな、柳さんって……。
「中途半端だったからかな……」
「え?」
「あのとき、あれだけだと、本当は全然物足りなかったの……」
「でも、出してたよね……?」
「……ええ、そう。でも、いつもは1回じゃ終わらないから……」
「ちなみに、何回くらい?」
「するときは最低3回くらい……」
『くらい』というのは、なんていうか、照れかな。柳さんだったら、きっと覚
えてるんだろうし……。
「変……かな?」
「わかんない。柳さんのケースは統計不足だと思う。でも女のコの1人エッチ
だったら、3回イっても、そんなにおかしくないんじゃないかな?」
「あ、そうか……男の人のと比べちゃうから多く思えるのかも……」
「うん、それにこの歳の男だったら、毎日3回くらいしてる人もいると思う」
「三谷くんは……?」
「3日に1回くらい、1回で……」
 って、やっぱり自分のことを話すのは恥ずかしいな……。
「オカズはなに? エッチな写真?」
「ううん、小説が多い……」
「女性的ね。妄想得意だから?」
「想像する方が感情が大きくなるからだと思うよ……」
 映画の時と同じようなことを言う僕。実際、写真より活字の方が興奮するん
だから仕方ない。
「私も小説と想像。最近の相手はずっと三谷くん」
「ど、どんなことされてるの?」
「色々してもらってるよ。それに色々してる……」
 柳さんはお茶で喉を濡らすと、立ち上がった。
 ベッドに腰を下ろして足をまっすぐに伸ばし、僕を見下ろしてきた。
「ここでいつもしてるの、私と三谷くん……」
 少し掠れた声……興奮に上擦った声が湿った唇の間から漏れる。
 ごく……。
「そ、そこでしてるんだ……想像の中の僕と、柳さんが……」
「そう……」
 柳さんは視線をベッドに落とし、掌でシーツを撫でた。
 それから、わずかに首を傾け、微笑みかけてくる。
「想像の中と同じように、してもらってもいい……?」


  〜5〜

 きっと柳さんは期待してたんだろうと思う。
 そう、よく男が彼女を部屋に呼んで、もしくは彼女の部屋に行って、期待し
てしまうように。
「触って……」
「服の上からでいいの?」
 柳さんの隣に座って訊いた。
「うん……」
 すでに赤らんだ顔で、頷く柳さん。クーラーが効いた部屋の中で、柳さんの
体だけが熱くなっているみたいだ。って、ベッドの上に女のコと2人きりなん
てシチュエーションで、僕も頭がだいぶ熱くなってるけど。
「……じゃあ、触るよ」
 僕は柳さんの下腹部に手を当てた。
「はぁ……んっ……」
「もう、硬くなってる……」
 スカートの厚い生地の下に、柳さんの大きなペニスが存在を主張していた。
もしかしたら、ショーツから頭が飛び出してしまっているかもしれない。
 その形を確かめるように、すりすりと手のひらを滑らせる。
「はぅぅ……っ……」
 くぐもった呻き声を漏らして、柳さんは髪を揺らす。
「こんな感じでいいのかな?」
 ちょっとずつ力を込めながら、指と手のひらをフルに使ってペニスを撫でさ
する。
「んぁ……いい……よ……三谷くん……」
「びくびくしてるね……」
「だって、気持ちいいから……あふっ……」
 僕が柳さんのを撫でる度、柳さんはシーツを掴んだり、目を閉じたり、体を
捩ったりした。ベッドがギシギシ音を立てて、何だか興奮してしまう。
「んうっ……はぁ……あぁっ……」
 あまりにも敏感に反応するから、手だけで柳さんを支配しているみたいにな
ってくる。
 柳さんが大きく背中を仰け反らせると、白いお腹と可愛らしいおへそがカッ
ターシャツの裾から覗く。
「ううっ、だめ……ちょっと、止めて……ッ」
「あ、うん……」
「ごめん、すぐ脱ぐね……」
 柳さんはスカートの中に手を入れる。
「……ん」
 親指を引っかけるようにして、純白のショーツを下ろしていく。しなやかな
腿を滑り、膝を越えて、するりと抜き取られる。
 その間に、黒々とした陰毛やピンク色の裂け目が何度も目に入って、その度
に僕はごくっと唾を飲み込んだ。
 柳さんはそれから、ちょっとためらいがちにスカートのボタンとホックを外
し、同じように脱ぎ去った。脇にどけていたショーツに重ねるように、スカー
トを置く。
 これでもう、柳さんの大事なところを隠すモノはなにもなくなっていた。
 僕はこの前よりも明るい中で、柳さんの性器を見ることになった。男の部分
も、女の部分も……。
 すごく、きれいだ……。
 赤黒く腫れ上がった巨大なペニス。根本の当たりに生え揃った控え目な恥毛。
その下でひっそりと息づく可愛らしい割れ目。異質な存在同士が、不思議と調
和して見える。まるで、それが人間の本来の形だとでも言いたげに、自然にそ
れらはそこにあった。
「はぁ……は……いいよ、触って」
 僕の目に曝した緊張と興奮で、柳さんの息は荒くなっている。2回目だけど、
だからといって、隠している部分を見せるのには大きな感情が伴うみたいだ。
「……う、うん……」
 僕の股間も、柳さんのと同じように痛いくらい勃起していた。自分の興奮を
柳さんに投影するように、僕は柳さんの勃起に指を絡めた。


  〜6〜

「あぅぅんっ……!」
 びくんっと柳さんの全身が股間に生まれた快感に反応する。
「こうして触るの、2回目だね……」
「そう……ね……。でも、想像の中では、数え切れないくらい、触ってもらっ
てるよ……」
「現実の方が気持ちいいと、僕の存在意義があるんだけど……」
「比べものにならないよ……三谷くんの手にされる方がずっと……いい……」
「じゃあ……動かすよ?」
 言いながら、表皮を滑らせていく。
「はぁんっ……」
 柳さんの顎が上がり、髪が舞う。
「あっ……あぁ……」
「気持ちよさそうに……脈打ってる……」
 ドクッドクッと大きな血流が手の中で暴れていた。浮いた血管が太くなって、
ゴツゴツになってきている感じだ。亀頭も赤黒さを増していた。
「はぁ……あ……んんっ……」
 シコシコしごいていると、柳さんは喘ぎながら、仰向けに倒れていった。そ
れでも濡れた瞳は股間と僕の手の動きを注視している。僕は小指に柳さんの恥
毛の感触を感じながら、徐々に縦の動きを大きくしていった。
「ひゃぁ……はぁんっ……んっ……」
 柳さんはベッドの上で肩をせわしなく動かし、口から喘ぎを零した。
「あああ……き、気持ちいい……よ……三谷くん……」
 太股を擦り付けたり揺らしたりしながら、腰を震わせる。濃紺のソックスに
包まれた爪先が丸まったり開いたりしていた。
「み、三谷くんって……一人でするとき、いつも……こんな感じ……?」
「え?」
「私、自分でするとき、は……こんなにゆっくり……動かすことって……ない
から……」
「そうなの?」
「え、ええ……き、気持ちよくなってて……すぐに……思いっきり動かしちゃ
うの……あぁんっ……!」
「僕も……そうだよ。最後の方は早くなる……」
「そ、そう……よね……はあっ……ああんっ!」
 先走りが鈴口でぷくりと膨らみ、あっという間に形が崩れて、僕の人差し指
の上へ流れ落ちてきた。熱くて、ねっとりとしていて、量も多い。先端から零
れ続けて、すぐに僕の人差し指の上で山盛りになる。
「すごく出るね……」
「そ、そう……かな……?」
 僕が頷くと、火照った顔を僕と反対方向に傾けた。
「んっ、い、いつもより気持ちいいけど……速く、ならないから……かも。じ、
焦らされてる感じで……腰から、なにか抜けてる、はああ、みたい、だから…
…」
「そっか。じゃあ、ちょっと速くするよ」
「う、うん……ひぁっ! はぅっ……あん……」
 止めどなく出てくるヌメリを手に絡め、ぬちゃぬちゃとしごいていく。
「す、すごい、三谷くんの手、ぬるぬるで……ああっ……!」
 柳さんは下腹部を見ている余裕がなくなり、目を瞑って眉根を寄せながら快
感に呻いている。
 柳さんのペニスはどこも敏感だけど、特に敏感なところを探しては刺激して
いった。自分では無意識にしていることだけど、相手のこととなるとなかなか
難しい。それでも、柳さんは体ごと反応するのでわかりやすかった。って、比
べる相手なんかいないけど。ただ、男が女の性器を、またはその逆を愛撫する
ときより、勝手が掴めているのは確かだ。
「きゃはっ……あっ……ひ……」
 ペニスから先走りが出てきたのに相まって、花びらがほとんど飛び出してい
ない秘処からも透明な液体が漏れてきているみたいだった。
「んは……あ……腰の奥まで痺れちゃう……」
 裏筋をヌメった指でこねながら、カリを擦り上げる。
「ひぃ……ふぁ、あぅぅんっ……!」
 指が回らないくらい巨大なペニスが可愛らしく震え、鈴口がぱくぱく開閉し
始める。
「あっ、あぁ、三谷くん……」
 柳さんは枕元からティッシュペーパーを3枚ほど取り、重ねて僕に手渡して
きた。
「いきそう?」
「う、うん……はぁっ! ああんっ……!」
 ティッシュを濡れた亀頭に被せ、力を込めてしごいていく。
「ひぃっ、だ、だめっ! 強いよっ、はぅうんっ……!」
 だめと言いながらもやめさせる気配はなく、柳さんはベッドの上でますます
激しく喘いでいく。
「すごい、まだ膨らんで……」
 僕の手の中で柳さんの肉竿がパンパンに張りつめていった。
 ティッシュが先走りを吸い、濡れながらも摩擦を生み出し、神経が剥き出し
の性器を刺激する。
「きゃはっ、擦れちゃうっ……! ふああっ!」
 柳さんは喉の赤い粘膜が見えるくらいに口を開け、シーツを握りしめ、足を
せわしなく動かす。それでも、僕の愛撫を受け止めようとしているかのように、
思いきり跳ねそうになる腰だけはしっかりとベッドに繋ぎ止めていた。
 僕は根本に向けてしごいた後、さらに表皮を思いきり引っ張る。何度かそれ
を続けると、びくんっと柳さんの肉棒が大きく震え、一気に膨張した。
「ああっ、いっちゃう、三谷くんっ、ああっ、ひああああーーーっ!!」
 とびきり熱いモノが手の中を駆け抜け、破裂したような音が響く。
 先走りですでに濡れてしまっていたこともあり、最も強烈な最初の一撃が3
組6枚のティッシュペーパーを貫いてしまった。
「わっ……!」
 噴き上がった熱い飛沫が覗き込んでいた僕の顔にかかった。慌ててティッシ
ュの先から覗いた亀頭に左手の掌を被せる。
「あああっ、あっ、はあぁぁーーんっ……!!」
 柳さんは激しく声を上げ、全身を震わせていた。火照った顔が泣きそうに歪
み、つい射精中のペニスを握る手にギュッと力を込めてしまう。するといった
ん堰き止められた精が勢いを増して左掌にぶつかってきた。
「あ、熱い……柳さんの……」
 どくどくと手の中で熱が広がっていく。3枚のティッシュ全体がぐちょぐち
ょに濡れてしまうほどの量が出ていた。
「あぅぅっ……ふあっ、はぁぁ……」
 射精の痙攣がおさまってくる。柳さんの顔も徐々に柔らかさを取り戻す、と
いうか、落ち着いた快感に喘いでいるような表情になってくる。
「や、破れちゃったね……」
「はぁ、はぁ……う……うん……あっ!」
 柳さんは僕の顔を見て、慌てたように新しいティッシュを差し出してきた。
「ごめん、かかっちゃった……」


  〜7〜

 僕の右手の中で、柳さんのペニスはそそり立ったままだった。
 柳さんの精液をたっぷり吸ったティッシュを剥いでみると、濡れ光る亀頭が
脈打っている。
「えーと、これは……」
「ゴミ箱。早く捨てて」
「あ、うん」
 汚れ物をベッドの傍にあった空のゴミ箱の中に落とす。少し手がねとついて
いる。なんとなく、反射的に匂いを嗅ごうとしたとき……。
「もう1回、してくれる……?」
 柳さんが快感と興奮で濡れた瞳が僕を見上げてきた。断る理由なんてこれっ
ぽっちも見当たらない。
「う、うん、いいよ……」
「なら、今度は、後ろから……」
 柳さんは上半身を起こすと、後ろに回るように言ってきた。僕はベッドに上
がって、柳さんの体温が残ったそこに膝をついた。
「え……とね、そうじゃなくて……足を広げて、私を抱くように……」 
「あ……っと……こう、かな?」
 右足と左足の間に柳さんの体が来るようにする。脇から手を伸ばせば、股間
には触れそうだった。
「もっと、ひっついて、いいよ……」
「うん……でも……」
 これ以上、体を寄せると股間が当たってしまう。もちろん、僕のは柳さんの
を触り始めたときから勃起していた。ちょっと生ぬるい感触があるから、先走
りも出ているかもしれない。柳さんが感じて、射精した姿を見たせいで、ずい
ぶんと興奮しているみたいだ。と冷静に分析しないと、なんかガバッと行って
しまいそうで怖い。
「いいから……後ろから抱いて……」
「わ、わかった……」
 頷いて、下半身だけ裸になっている柳さんの肢体に近づいた。危惧していた
とおり、膨らんだ股間が柳さんに接触してしまった。カッターシャツの上から
とはいえ、女のコの生の肉体を感じて、ビクッと震えてしまった。
「あ……」
 勃起したペニスの動きを感じたのか、柳さんが声を出した。
「熱い……三谷くんのも、大きくなってるんだ……」
「ご、ごめん……」
「いいよ……普通……だと思う。そのまま、して……?」
 返事の代わりに、僕は柳さんの勃起を手探りで掴んだ。
「ひゃぅっ……!」
 手の中の肉棒が声と一緒に飛び跳ねる。さっきまでティッシュが被って液体
を吸っていたのに、もう新しい先走り汁が垂れてヌルヌルになっていた。僕は
脈打つペニスをゆっくりとしごき始める。
「くぁ……んっ! あ……はぁぁっ……ッ」
 柳さんの声からさっそく喘ぎ声が漏れ、熱くなった体を僕の腕の中で悶えさ
せた。僕は柳さんの肩に軽く顎を乗せ、耳元から声を出す。
「この体勢って、想像の中で多かったりするの?」
「う……ん……」
 黒髪を波立たせながら、恥ずかしそうに頷く柳さん。
「これだと……自分の手でも……三谷くんにされてるみたいだから……」
「そっか……」
「み、耳元で、エッチなこと、囁かれながらしてもらうの……想像してた……」
「僕は、どんなこと言うの?」
「このいやらしい、おちんちん……はぁっ、んっ! も、もっと、しごいて欲
しい? とか……」
 それを聞いて、僕は手を動かすのをやめた。さっきより膨らんだ柳さんのペ
ニスがビクビクと手の中で動いている。
「ああっ! や、やぁ……三谷くん……」
「ちゃんとしごいて欲しい? 柳さんの、いやらしいチンポ……」
 びくんっと柳さんの柔らかい体が震え、血の勢いが増したのか、ペニスが思
いきり跳ねた。血管の感触を幹のそこら中に感じる。
「し、しごいて……! いっぱい、三谷くんの手で、私のいやらしいチンポ擦
ってっ!」
「……こんな感じ?」
 にちゃにちゃと音を鳴らしながら、長い肉の茎をしごく。
「はぁんっ、あっ、そ、そうっ! そんな感じで、はあぁっ……!」
「柳さんのペニス、すっごいドロドロになってる……」
 どくどくと溢れた汁が指にまとわりつき、しごいているだけで僕も気持ちよ
くなってくる。
「三谷くんの息、すごく……熱い……あっ……あんっ……」
「チンポいい? 感じる?」
「うん、うんっ! も、もう一回、出るまで、とめないでっ! あっ! ひゃ
あぁんっ!」
 柳さんの火照っている体と喘ぎ声を間近で感じているため、僕の体もどんど
ん熱くなってきている。せわしなく脈打つ柳さんのペニスと同じくらい、柳さ
んの腰に押しつけてしまっている勃起も跳ねていた。柳さんが腰を揺らす度に
僕も気持ちよくなって、漏らしそうになってしまう。
 僕の手の動きは次第に単調になってきていた。しかしそれは、十二分に高ぶ
っている柳さんをさらに感じさせ、快楽の頂へと押し上げるのには効果的すぎ
た。
「んぁっ……ふっ、ひぃぃんっ……!」
 太股に柳さんの爪が食い込んできた。けれど、ほとんど痛みは感じない。僕
はどんどん手の動きを加速させていった。
「くひっ! ああっ、あっ、あっ! 気持ち、いいよぉ!」
「柳さんのペニス、びくびく震えてる……」
「やあっ! んっくっ! すごいっ、ああっ! い、いっちゃうっ!」
「精液出るの?」
「うん、出ちゃうっ! んぁっ、ふあぁっ!」
「いいよ、いっぱい出して、柳さん……!」
 僕は左手でティッシュを手早く四枚確保し、手探りで亀頭に被せた。射出へ
の欲望に震える肉棒を力一杯しごいていく。
「ふあああっ! 出ちゃうっ! やっ、ひっ、あっああああーーっ……!!」
 びくびくびくっと肉棒が痙攣した。肉の収縮によって勢いよく押し出された
精が、ティッシュの中で弾けていく。
「出てるっ、いっぱい出てるよぉ! ひ、ひぅぅーーーっ!」
「まだ出る?」
 僕は柳さんの中に溜まっている精を全て出させようと、射精しているペニス
をさらにしごいていった。
「くひぁっ! はああっ! そんなっ、い、イッてるときしごいたらっ! ひ
ゃあっ! ああああぁぁぁぁーーっ!!」
 僕の胸に背中を押しつけながら、柳さんは絶頂に打ち震えていた。


  〜8〜

「ふあああ……! はぁ、はぁ、はぁ……!」
 射精を終えた後、柳さんは全力疾走の後みたいに荒い息をつく。
「はぁぁ……ねえ、三谷くんは……?」
 首を捻って、柳さんが尋ねてくる。
「え?」
 意味が分からず、僕はまぬけな声を出した。柳さんは股間のティッシュをゴ
ミ箱へ持っていくと、興奮衰えない顔で意味を伝えてくる。
「三谷くんも、出したい?」
「う、うん……そりゃあ……」
 実のところ、柳さんの腰の感触をずっと感じていて、危なかったりもした。
今も、ヘタをするとトランクスの中に出しかねないような興奮状態。二度の射
精で部屋に充満する柳さんの性臭にも、たまらなく官能を煽られている。
「じゃ、じゃあ……してあげる。本当の、精液……見てみたいし……」
「あ、ありがと……っていうのは、変かな」
「脱いで……くれる?」
「わ、わかった……」
 興奮して理性がぶっとびかけているものの、やっぱり異性の前で下半身を露
出するのは恥ずかしかった。
 僕は柳さんと同じように下だけ脱いで、ベッドに仰向けになった。柳さんが
上から勃起を覗き込んでくる。
「こ、これが……本物のペニスなのね……」
「い、一応……」
 柳さんのと比べると見劣りするけど、男としては平均サイズ。自然と剥けた
のはラッキーだったかもと思う。
「……やっぱり、同じような見た目ね……」
 柳さんは観察するように、色々な方向から男のペニスを眺めていた。
「あう……あんまり、見ないでよ……」
 柳さんの熱っぽい鼻息が股間にかかる。くすぐったいけど、ますます興奮し
てペニスが震えてしまった。恥ずかしながら、見られているだけでイッてしま
いそうだ。
「もう先走りでどろどろ……ずっと興奮してたの?」
「うん……だって、柳さんの声とか、すごくエッチだったから……」
「さ、触るよ……」
「いいよ……でも、触られると、すぐイっちゃいそう……」
「それは、お互い様だから……」
 しなやかな手が伸びてきて、指がペニスに巻きつく。
「くふっ……」
 ひやりとした感触と大きな快感に、思わず声が出た。
「熱くて、どくどくいってるね……脈が速い……」
 柳さんの手と僕のペニス、僕の手と柳さんのペニスの比は同じくらいだった。
柳さんは一周回りきらない指で、ゆっくりとしごき始める。
「くあ……あ……」
「すごく跳ねてる……私の手、気持ちいい?」
「う、うん……あ……ああっ……」
 勝手知った手つきだった。自分でしているときと変わらないくらい、柳さん
は微妙な力加減で微妙なポイントを刺激してくる。それでいて、自分でしてい
るときの何倍も気持ちがよかった。
「ここも、触るよ……」
「あっ……柳さん……うああっ……!」
 空いていた左手が先走りに濡れた亀頭に触れてきた。がくっと腰が震える。
自分でしているときの倍以上の先走りの汁がどろどろと溢れ出てくる。
「ふふ……三谷くんも、いっぱい我慢のお液が出てるね……」
 柳さんは親指で先走りをすくうと、裏にある筋をクチュクチュとこね回して
くる。
「くはっ! うぁぁっ……! き、気持ち、いいよ……柳さん……くぅぅっ!」
 これまで最も大きな快感に、ぞくぞくと背筋が粟立ち、腰の裏側が震えた。
快感を含んだ血液が脳にどくどくと流れ込んできて、思考の中心が甘く痺れる。
「すごい……どんどん膨らんで……はち切れそう……」
 ペニスは見たことがないくらいに膨張していた。いつ暴発してもおかしくな
いくらいだ。
「こうすると、きっと、もっと、気持ちいいよね……」
 柳さんはしごいている方の手に透明な粘液を塗りつけた。ぬちゃぬちゃと音
を立てながら、肉棒を擦ってくる。
「くぅっ! うっ! うううっ……!」
 あまりの快感で、歯がかちかちと音を立てた。実際の動きも力加減は普段の
オナニーの時と変わらないのに、柳さんの指でされていると気持ちよさがまっ
たく違う。
「三谷くん、感じてる……すごく、いい顔してるよ……」
 普段はX=Yのペースで高ぶっていくのに、今回はX=Yの二乗のペースだ
った。
「ああっ、だ、だめだっ……! や、柳さんっ……!」
 ペニスの根本に力を込めていないと射精してしまうという状態に追い込まれ
た僕は、慌ててティッシュ三枚をむしり取り、柳さんに渡した。
「うん……いいよ、出して……三谷くんの、精液見せて……」
 柳さんは左手でティッシュを亀頭に被せて、右手で幹をギュウッと握りしめ、
ごしごしと力強くしごいてきた。
「あっ、ああっ、いく……出るっ……柳さんっ! うあっ、あああーーっ!!」
 柳さんの手の中で肉棒が激しく脈打った。びゅぱっ、と溜まりに溜まってい
た精液がティッシュにぶつかって音を立てる。
「あ……出てきた……! もっと、出していいよ」
 柳さんは射精中の肉棒を力を込めてしごいてくる。
「くああっ! あっああーーっ!!」
 頭が真っ白に染まる。爆発したような射精感だった。僕のペニスは柳さんに
握られたまま、手を弾くような勢いで脈動し、精液を止めどなく噴き出してい
く。そして、柳さんに導かれた射精は、これまでに経験したことがないくらい
長く続いた。
「はぁぁぁっ……はぁ……はぁ……」
 長い射精がようやく治まった。視界にも色が戻ってきた。けれど激しい射精
の快感の余韻にぐらぐらと目の前が揺れていて、なかなか焦点が定まらなかっ
た。下半身にも力が入らない。精を吐き尽くして、腰が空っぽになってしまっ
たみたいだった。
「んっ……ん……終わったみたいね……」
 柳さんは僕のペニスを何度か擦って、射精が終わったことを確かめる。そし
て、亀頭に張りついていたティッシュを剥がした。真ん中辺りに、どろりと白
い粘液が滲みていた。
「ああ……これが……男の人の……三谷くんの、精液なんだ……」
「あ……柳さんっ」
 柳さんはティッシュの上で盛り上がっている精液に火照った顔を近づけた。
「はぁ、はぁ……す……すごい匂い……私のより……ずっと濃くて、青い臭い
感じ……」
 精の匂いを嗅いで、どこかうっとりとした表情を浮かべる。
「ね、ねえ……み、三谷くん……」
「あ……」
 細められた眼で何かを訴えようとする柳さんのペニスが、ビクビクと震えて
いた。3回はするという柳さんの言葉を思い出す。
「もう1回する?」
「うん……あと1回……して……」
「わかった、いいよ……」
 僕は上体を起こして、柳さんに場所を譲った。
 柳さんは僕の精液が沁みたティッシュを持ったまま、仰向きになった。お守
りのように、胸に抱いている。
「本当にすごいね、柳さんのって……」
 つい5分くらい前までに2回出しているのに、柳さんの肉棒はもう完全な状
態だった。それどころか、前の2回よりも大きくなっているようにすら感じる。
まあ、それを言うなら、僕も出した直後なのにギンギンだったけど。
 結局、この日……僕は柳さんをあと2回射精させ、僕ももう1回柳さんの手
で出してもらった。








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